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ブログ記事

「いとしのセシリア」

 瓦礫の山だけ。それだけだった。

 アメリカの同時多発テロ以降、その瓦礫の跡地は「グラウンド・ゼロ」と呼ばれた。

 ニューヨークは変わっても、彼女と出会ったバーは変わっていなかった。

 バーボンを頼むと、マスターはグラスに注いだ。

「大事なものを失ったよ。かけがえのないものを」

 俺が言うとマスターは瞳に悲しみを浮かべたような顔で「それはジャップよりも俺たちのほうがたくさん失ってるぜ」と言って俺の肩を二度叩いた。

 ラジオからは「いとしのセシリア」が流れてきている。

―― Oh Cecilia, I'm down on my knees, I'm begging you please to come home.

(おおセシリア、僕はひざまずき、君へ懇願しているんだ。帰ってきてくれと)

「この曲、彼女と喧嘩したときによく歌ったんだ。へたくそって笑い転げていたよ。それですぐに仲直りした」

 浴びるように飲んだせいか、バーを出た記憶がなかった。

 気がつくと、ブロンド女の豊満な乳房が俺の上で揺れていた。

 女が腰を振るせいで俺の頭に痛みが響いてくる。

 「頭が痛いんだ」と言うと「もうおしまい?だったらお金払ってよ。終わったんだったら早く家に帰りたいわ」とブロンドの髪をかきあげながら女は言った。

 女に金を掴ませると、さっさと部屋を出ようとしたので呼び止めると、面倒くさそうに「何よ」と振り向いた。

「もう少しだけいて欲しいんだ。金は払う」

 女は「わかったわ」と言って、着た服を脱ぎだすので俺は止めた。

 俺は「いとしのセシリア」を歌うと「へたね。お金払われても聞きたくないわ」と女は笑い転げた。

「今日で歌うのは最後にする。もう歌う相手もいないからな」

 俺の言葉に彼女は黙ってうつむいた。

「お願いがあるけど聞いてくれる?」

 彼女はうつむきながら消えそうな声で言った。

「優しくキスして欲しいの。セシリアって呼びながら。お金はいらないから。名前教えてよ」

 俺は名前を教えると優しく抱き締めてキスを始めた。

 名前を呼び、奥へと入る時、彼女は歌詞を変えて口ずさんだ。

―― Jubilation, He loves me again, I fall on the bed and I loving.

(なんて喜び。彼がまた愛してくれる。私はベッドに落ちて愛するの)

 すっと彼女の瞳から枕に涙が落ちて小さな部屋を儚く濡らした 。




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